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Lepisosteus oculatus

ジュラ紀から白亜紀、恐竜たちの時代に共に栄えた原始的な魚類の依存種。
長く突出した吻には鋭い歯が並び、どこか原始的な恐竜を思わせる古代魚の仲間である。
体表をガノインと呼ばれる硬鱗で覆われており、シーラカンスやポリプテルスといった古生代や中生代に繁栄した硬骨魚類の特徴を備えている。
ガーパイクの化石はインドやアフリカ、ヨーロッパなどから発掘されているが、現在では北米から中米にかけて、アトラクトステウス属3種、レピソステウス属4種が現生している。
アリゲーター・ガー(Atractosteus spatula)
メキシコ、ニカラグア、ミシシッピ川に分布 体長最大2m以上(産地により多少大きさは異なる)
メキシコ、ニカラグア、ミシシッピと産地が分れ、ガーパイクの中ではおそらく最大種であろう。
最大で2mを超える大型種で、飼育には犬を飼うくらいの覚悟が必要である。
産地により異なるが、時に汽水域~海水域にまで浸入することがあるという。
主食は魚や甲殻だが、大型種の一部は水鳥や小型哺乳類すら食べると言われている。
キューバン・ガー
(Atractosteus tristoechus)
キューバに分布 体長最大1.5m以上
別名「マンファリ」の名で流通することもある。入荷量は比較的少ない珍しいガーパイクである。
アリゲーターに比べれば小さいが、天然では150cm程度にまで成長する。
本属の中では最も吻の幅が広く、多種との区別が付けやすい。
水槽飼育では成長が途中で止まってしまうことが多く他の大型ガーパイクに比べれば飼育しやすい。
トロピカル・ガー
(Atractosteus tropicus)
メキシコ、ニカラグア、コスタリカなどに分布 体長最大2m以上
同学名に3種存在している。
最も大型になる「ジャイアント」、ガーパイクとしては最も南に生息している小型な「ニカラグア」、メキシコはチャパス州に生息する「チャパシウス」である。
ジャイアントと名の付くトロピカル・ガーは、飼育下でも2m近くまで成長するので、飼育にはアリゲーター同様に覚悟が必要である。
ロングノーズ・ガー(Lepisosteus osseus)
北米大陸に分布 体長最大1m以上
成長しても50cm程度の小型種で、条件さえそろえば一般家庭でも管理可能なガーパイクである。
ミシシッピー、ミズーリー州の広域、オハイオ川流域に生息する。
本種の幼魚は怪物Atractosteus属と似ているので、信頼のおけるショップでの購入を心がける。
間違って怪物を購入してしまうと・・・。

トロピカルガー

スポッテッド・ガー
(Lepisosteus oculatus)
メキシコに分布 体長60cm以上
ガーパイクの中でも最も有名で人気が高い。
体全体にスポットがあり、色彩・サイズ・性格どれをとっても人気の理由が伺える。
飼育は容易で、幼魚の時期に十分な給餌さえ怠らなければ立派な個体に成長させられる。
ガーの中では小型だが、飼育下でも50cmになる大型魚であることをお忘れなく。
フロリダ・スポッテッド・ガー
(Lepisosteus platyrhincus)
フロリダ半島に分布 体長50cm
産地の違いだけで一見してはスポッテッドとは判別しにくい。
水槽内では50cm弱と小さめで飼育しやすい種類といえる。
飼育方法はスポッテッド同じである。
幼魚時の栄養障害が後の成長、寿命へと直結するため、餌の量・バランスを考えて与える。
■小型ガーパイクの飼い方
 小型種(スポッテッド、フロリダ、ショートノーズ)
 推奨水槽サイズ120×60(奥行き)以上
初期の注意点と水槽
マッチ棒サイズの稚魚が比較的安価で売られている。
成長すれば頑強なガーパイクであっても、稚魚・幼魚時は死亡率が高く、こなれた水でないと簡単に死んでしまうことが多い。
特に導入時は他の魚と同じく慎重に水合わせを行う。
ショップでの状態も重要で、覇気がない、泳ぎが弱々しい個体は絶対に避ける。
ガーパイクは空気呼吸する為、必ず水面上には5~10cm以上の隙間を空けること。

極端な水流は避け、水槽内にはガーに食べられないサイズの残餌掃除部隊(小型プレコやローチ類)を投入しておくと、急激な水質悪化を防げる。
ただ成長と共にこれらの魚達は捕食の対象となるため、成長を見ながら隔離するように。
水質は中性で水温は25℃前後でかまわない。
大きくなるにつれ当然水を汚す為、ろ過はしっかりと効かす。
ろ材には珊瑚を1/3ほど使用すると急激な水質変化を防げる。
ガーパイクは体が硬く、水槽が狭いと様々な異常を起こしやすい。
これら小型種を生涯飼いきるには、幅120以上、奥行き60cm以上水槽が必要である。
ある程度に成長したら、速やかに大きいサイズの水槽に移動させる。
餌について
非常に大食いで何でも食べる感があるが、個体によってはかなり選り好みをする。
幼魚時は赤虫をメインに配合飼料も与える。
吐くまで、そして日に何度でも与えて成長を促進させる。
幼魚時に餌をケチったり栄養バランスが悪いと、将来必ず体型に異常をきたす。
配合飼料を食わないのなら、メダカやアカヒレなどガーが食べられるサイズの餌を与える。
飼育者から与えられるものが餌だと認識出来れば何でも食うようになる。
20cmを超えた辺りから配合飼料をメインに切り替え、冷凍エビなどオヤツ代わりに与える。
くれぐれもクリルの単用だけは避けること。
これしか食わないのであれば、速やかに活餌に切り替える。
混泳について
混泳は同種同士の方が良く、餌食いが活発になり発色も良くなる。
ガーは大人しく、他の大型魚からは虐められるので、混泳水槽では本来の姿が観察出来なくなってしまう。
混泳させる場合は底棲魚の淡水エイや、ドラスなど生活域が重ならない種を選ぶ。
メンテナンスについて
良く食べ水を汚すので定期的な水換えは必須で、月に一度はろ過のメンテナンスも怠らないようにする。
体表をガノインに覆われているため、病気らしい病気にはならない。
逆にガーが生存できない水質になるのは異常であり、飼育者の管理体制が疑問視される。
大型ガーパイクの飼い方
 大型種(ロングノーズ、キューバン、トロピカル)
 推奨水槽サイズ200×100(奥行き)以上
初期の注意点と水槽
飼育するにはどのくらいの水槽が用意できるかがカギとなる。
本来の魅力を発揮するのは大抵皆が持て余す50cmを超えたあたりからであり、大型水槽を待てる人だけがその魅力を存分に味わう事となる。
基本的な飼育法は小型種と変わりないが、早め早めの水槽移動を心がける。
餌について
大型になるにつれ食う量も半端ではなくなる。
ブラックバスやブルーギルの幼魚が採れるならばそれを与えても構わない。
但し採取ものの餌を与える場合、トリートメントを必ず施すこと。
超大型ガーパイクの飼い方
 怪物クラス(アリゲーター、ジャイアント)
 推奨水槽サイズ200×100奥行き以上
初期の注意点と水槽
これら怪物クラスの飼育をする前に、自分が用意出来る水槽を考える必要がある。
用意出来る水槽が180cmまでならば、これら怪物に手を出してはならない。
大型水槽の代名詞でもある180cm水槽でさえ、彼等にとっては狭いのである。

幅2mを超える水槽は軽く水量はt(トン)を超え、果たしてそのような水槽を買うことが出来ても、置く場所があるかどうかが問題である。
飼育下でも平気で1mを超え、天然では2m以上にもなるこのクラスを飼うには、かなりの出費と覚悟が必要なのは言うまでもない。
残念ながら衝動買いの対象になってしまうのは、そのネームバリューと驚くほど安価で売られている稚魚のせいであろう。
飼育には最低でも2m(幅)×1m(奥行き)の水槽が必要であり、終生飼いきるにはそれ以上の水槽が必要である。
ろ過は水槽のサイズからオーバーフロー方式となる。
飼育自体はある程度成長してしまうと非常に丈夫で容易である。
餌について
基本的に全種と同じである。
これら大型種は咥えられるサイズのものは何でも食べるので、複数飼育ならば餌よりも他魚の心配をする。
病気・アクシデントについて
ガーは非常に丈夫なため病気らしい病気にはならない。
何となく調子が悪い場合でも、水換えで調子を戻すことが多い。
最もよく聞かれるのが体型障害で、原因の殆どが成長期の餌不足(栄養障害)や水槽の狭さによるストレスである。
完治させるのは難しく、障害が発生した個体は長生きできない。
これらの症状は飼い主の怠慢が原因であるため、自身の飼育方法を見直すと共に、バランスの良い餌、広い水槽を心がけるようにする。