ディスカス

南米はアマゾン川などが原産の淡水魚で、スズキ目・シクリッド科・シムフィソドン属Symphysodon に分類される魚である。現地では流れが殆どない沈水林に棲息している。
現在では世界各地で品種改良が進み、様々な種類が流通している。原種は特に水質にうるさいが、近年では東南アジアで養殖された個体が多く輸入され、日本でも意外と飼い易い魚となってきた。
水槽について
最終的に90cm以上の水槽が用意できることが望ましい。
ただ幼魚の飼育ならば60cm水槽から可能なので、様子を見ながら水槽をステップアップしても構わない。
使い勝手の良い60cmワイド水槽(60×45×45)なら、幼魚を10匹~20匹程度飼うことができる。大型水槽を使用する場合、幼魚にはセパレーターなどを用いて飼い始めるのが良い。
基本はベアタンク
ディスカスといえば水槽に底砂を敷かないベアタンクが基本である。
これはメンテナンスを簡単にするためで、水質管理をしやすくするためのポイントでもある。
水槽内にはヒーターと投げ込み式のフィルター、エアーストーンのみにする。隠れ家が欲しい場合には流木やシェルターを入れるのは全然問題ない。
ろ過について
よく食べよく水を汚す魚なのでろ過は十分に効かす。ただし基本は水換えによって管理するということを念頭におくこと。ろ過は一般的な上部式フィルターで問題ないが、早い水流を嫌うので上部式フィルターを用いる場合、水流を逃がすような工夫が必要となる。密閉型の外部式フィルターの場合は目詰まりを起こしやすいのが難点でもある。
ディスカスハンバーグは想像を超えるスピードで水を汚す。
少しでも調子がおかしくなったらアンモニア、亜硝酸の測定をおすすめするが、基本は水換えで管理し、ろ過増強するようにする。
水質・水温について
ディスカスは水質にうるさいと言われるが、実際に出回っている養殖個体は水質対する適応力もかなりあり、pH7.0から弱アルカリ性の水質でも飼育できる。ただ原種ワイルド個体は生息域によって極端な弱酸性を好む種類もいる。
もちろん全てのディスカスが水質悪化には弱い。
産地であるネグロ川は導電率が8us/cm、pH5.0、GH1以下、KH1以下という軟水で、繁殖を狙うならこのようなデータを元に環境を整えるようにする。

幼魚は成長を早めるため30℃~32℃と高温で管理する人も多い。
ただ若魚~成魚に関しては普通の熱帯魚と同じで27~29℃で特に問題はない。
餌について
基本はディスカスハンバーグとアカムシ。食べるなら配合飼料を与えたい。
餌は最低でも1日2回、場合によっては更に与える。特に幼魚はディスカスハンバーグをメインに与えて成長を早めた方が楽である。
ハンバーグを与える場合、どの個体にも行き渡るように細かく千切って与えること。またあまり大き過ぎると、吐き出す事が多く、水質悪化を早めてしまうだけである。
イトミミズは雑菌の持ち込みが多く、腸内に異常を起こす個体が多かったのであまりお薦めできない。
ディスカスハンバーグは水質悪化のスピードが異様に速いので注意すること。
特に底砂を敷く場合や水草水槽でディスカスを飼う場合、ハンバーグの使用はかなりのリスクがある。

・ディスカスハンバーグ
栄養価が高く嗜好性も高い。保存も可能でディスカス飼育には欠かせない餌と言える。
主に牛ハツを原料にしており、幼魚から成魚まで幅広く使えるのが嬉しい。
ただ水質悪化が驚くほど早く、一週間に1回程度の水換えでは到底水質の維持はできない。またミズミミズ発生の引き金にもなるので水質管理は十分に注意すること。
入手と日常の管理
現在市場では養殖個体が多く出回り、この段階で色揚げ効果のある餌を与えられている事があり、入荷直後であっても色を出している個体に遭遇することもある。
ただ大切なのはまずは健康である事、奇形で無い事、目が異様に大きくない個体を購入することを心がける。

管理で大切なのが水換えである。
他の熱帯魚はろ過を中心に考えるが、ディスカスは水換えを中心に考えるのが基本といえる。
水換えは魚の調子を見ながら量や数を増やすこと。
ブリーダーは2~3日に一度、全水量の1/2~1/3を換える程である。
ディスカスで起こりうるアクシデント
・いじめ
複数飼育していると大抵いじめられる個体がでてくる。隅っこで黒くなっている個体はほとんど餌を食べれないので、セパレーターで仕切ったり流木などで隠れ家を作ってやると良い。隔離する際、必ずいじめる側を隔離すること。

・おびえ
人が水槽を横切っただけで突然暴れだす怯え。原因の特定は難しいが、日光の照射や振動、また水槽や水質が合わないなどの理由が考えられる。外の物にたいして明らかに怯えている場合、水槽側面を覆ったり水温を上げるだけで解消することもある。

・拒食
活発なディスカスが餌を食わなくなる理由の殆どは水質悪化である。まずは水質悪化を疑い、餌の食い飽きなども検討する。
また弱い個体がいじめられて餌を食わなくなることがある。
急な拒食で他に原因が見当たらない場合、思い切って水温をあげて代謝を高めるという方法もある。
その際一気に水温を上げるのではなく、徐々に33℃くらいまで上げて様子をみる手もある。

・病気
ハンバーグを使用すると水質悪化のスピードが速く、あっという間に病気にかかってしまうことがある。
特にエロモナス感染症は手遅れとなるケースが多いので、日頃から魚の状態をチェックするようにする。
またpHショックにも弱いため、導入時の水合わせや水換えの際には十分に注意すること。