苔について
基本的にどんな水槽にも必ず発生する苔。
これら苔(藻類)の胞子は空気中に存在しているため、完全に防ぐのは不可能に近いのが現状です。
ただし爆発的な発生には必ずそれなりの原因が存在するので、まずはその原因を解明することが大切です。
多くの場合、それは太陽光の照射だったり水の富栄養化や水質悪化の黄色信号だったりします。
以下に簡単ではありますが、苔の発生原因と対処法をまとめておきましたので参考にしてみて下さい。
苔の発生原因とその対処法
苔の発生原因 |
・水槽を立ち上げたばかりでろ過バクテリアが少ない。 ・水換えの怠慢による硝酸塩濃度の上昇。 ・ろ過槽や背面など目の行き届かない場所の汚れ。 ・照明が強い、もしくは弱い。 ・太陽光がどこかしら差し込んでいる。 ・収容魚が多い、または餌の量が多い。 ・飼育水の硬度が高くpHがアルカリ性である。 ・二酸化炭素(CO2)濃度が低い。 ・水草の量が少ない。 |
対策 |
・ろ過が十分に効いてくると苔も少なくなってくる。 ・適切な水換えを行う。 ・ろ過槽も定期的に掃除する。 ・照明の見直し。(暗すぎても明るすぎても発生の原因) ・直射日光に限らず、窓や鏡の反射などもチェックする。 ・ろ過能力を高める。 ・pH上昇の原因となるものをチェックし、浄水器やピートモスを用いて飼育水を軟水にする。 ・二酸化炭素濃度が低い場合は二酸化炭素の追加。 ・水中の養分や老廃物を水草が吸収しきれない。 ・苔を食べる魚の導入は全てにおいて効果が見込める。 |
苔の種類と性質
茶苔
その名の通り茶色の苔で水槽内で多く見られます。
水槽の表面やパイプ、水草の葉先などに広がり、放っておくと瞬く間に水槽を覆いつくします。
特に水槽立ち上げ時に多く発生し、ろ過バクテリアが十分に機能していない水槽に見られる傾向にあります。
通常は水質が落ち着き、ろ過バクテリアが繁殖して環境が安定すると発生しなくなります。
また照明時間や光量が少ない、フィルターの目詰まりやろ過能力不足が発生の引き金となります。
水質がアルカリ性で高硬度になっている場合には更に酷くなる場合があるので、硬度を下げる必要があります。
スポンジ等で簡単に落とせる他、オトシンクルス、サイアミーズフライングフォックス、一部のプレコを導入すれば一晩で消えてしまいます。また石巻貝も非常に有効です。
水草を植えているならば初期には肥料を十分に与え、養分の吸収を促すようにすると良いでしょう。
水槽セットから時間が経っても発生する場合、魚の入れすぎや餌が多い、また底砂やフィルターの目詰まり、ろ過能力不足も考えられるので、しかるべき処置を行う必要があります。
頑固な緑の点状コケ |
どの水槽にも発生します。 原因は日光がどこかしら差し込んでいる、照明時間が長い、また照明が強い場合などと光に関係しています。 頑固な為、駆除には三角定規などでこする、または大型プレコ(セルフィン、パイレーツなど)がいると除去できます。但し苔取りとして安易に大型プレコの導入は避けた方が無難です。石巻貝も多少は有効です。 |
黒い髭状のコケ |
黒い髭状のコケで見るからに頑固そうな苔です。 長期維持している(水が古い)水槽で発生し、肥料過多や餌(生餌)などによる硝酸塩の蓄積が主な原因とされています。 一度しっかりと生えてしまうと駆除するのが難しく、特に流木などにしっかりと根をはってしまうと取り除くのは非常に困難です。 苔が生えてしまった流木などは、タワシでゴシゴシ擦るのが一番簡単な除去法ですが、コケを枯らす市販の製品を使うとより簡単に取り除くことができます。 この苔に悩まされる場合、肥料や餌の種類や量、ろ過槽の汚れや水換えの仕方についてもう一度見直してみましょう。 ■木酢液を使った除去 木酢液は含有される酢酸や有機物の働きによって、広く農業で使用されるものです。 強烈な匂いも特徴で野良猫除けとして使用している人もいるとか。 木酢液は水槽でも応用活用ができ、コケ対策として利用する人も多いものです。 原液を3倍程度に薄め、水換えの時などに定期的に添加する方法や、毎日少量ずつ添加する方法があります。 目安としては60cm水槽で5~10mlほどです。 苔がしっかりと根付いた流木などは、一度水槽から取り出して、直接木酢液を塗りこんで天日干しし、完全に除去してから水槽に戻すようにしましょう。 当然のことながら長期に渡って添加し続けると、バクテリアや飼育している魚に悪影響を及ぼすので注意が必要です。 |
ラン藻 |
緑色の膜のような苔で水草や水槽壁、流木などにベタッとした感じで発生します。 特殊な異臭を放ちヘドロのような印象を受ける嫌な苔です。 これが大発生する場合、一番の原因は水質の急変が考えられます。 また何らかの理由から外から持ち込んだ場合や光の強さにより発生します。 立ち上げたばかりの水槽で水質がアルカリ性で硬水の環境でよくみられるそうですが、弱酸性の環境で発生しないというわけではありません。 駆除には市販の除去剤も効果がありますが、ブラックモーリーが唯一このラン藻を食べてくれるので、可能なら導入してもよいでしょう。 ただし空腹時にしか効果が見込めないので、餌やりを抑えるなど、少々酷な環境が必要となります。まずフィルターやろ材、水質などを再検討することにしましょう。 また消灯も非常に効果があるそうで、給餌に影響のない時間は照明を消す、という方法で苔を抑制することが出来るそうです。 このラン藻は水換え時にホースで簡単に吸い出す事も可能な苔です。 |
細い糸状のコケ(トロロコンブ状のコケ) |
富栄養化した水槽に発生しますが、多くの場合水草を導入した際に一緒に持ち込み、増殖するケースが多いようです。 発生の原因は肥料過多や照明時間が長い、もしくは強いことが挙げられます。 繁茂しすぎると幼魚などが絡まって死亡するケースもあります。 またウイローモスに絡むととても厄介で手の打ちようがありません。 駆除にはまず肥料や照明の見直しを行い、換水を多めに行うことで徐々に駆除できます。 また市販の除去剤やヤマトヌマエビも効果があるようです。 |