魂の魚たち。
彼らの魅力は決して飼育などではない。
果てしない時の流れの中で、今も尚その姿を変えず我々に驚きと感動をもたらしてくれる。
そんなワンダフルで一般家庭の限界を超えた彼らの魅力をここに綴る
レッドテールキャット(Phractocephalus hemiliopterus)
アマゾン川に分布 体長1m以上 推奨水槽サイズ200cm以上
衝動買い指数 ★★★★☆
非常に有名なナマズ。
愛嬌のある顔と驚くほど安価な幼魚が売られているため衝動買いの対象になりやすい。
数センチの幼魚を見て「飼えそうだ」と勘違いした人が、思わず手を出してしまいがちな魚である。
食欲は底なしで同型魚やそれ以上の魚、時には水温計やキスゴムまで一飲みにしてしまう。
そして成長速度は異常なほど早い。
大抵の人は半年程でその成長力に驚き持て余してしまう。
飼育は単独飼育が基本であるが、飲まれないサイズの大型魚となら可能であろう。
実際に飼育されている人の水槽データを紹介すると、

水槽:300×100×80(高さ)
ろ過:オーバーフロー

収容魚:レッドテールキャット、アジアアロワナ、アリゲーターガー

水槽:200×90×90(高さ)
ろ過:オーバーフロー

収容魚:レッドテールキャット、アリゲーターガー

一般家庭レベルを超えた施設と言えよう。

水族館へ行けばその素晴らしい姿が見られるので、先ずは一度は見ておくことをお勧めする。
そこで「こんな魚家で飼えるはずがない」と思うのが一番である。
皮肉にも大型ナマズの中でも最も人気が高いのが哀しい末路に繋がっているのだろう。
ピラルクーArapaima gigas
アマゾン川流域オリノコ川に分布 体長最大2.5m以上 推奨水槽サイズ200cm以上
衝動買い指数 ★☆☆☆☆
ご存知世界最大級の淡水魚である。
「最大」と聞くだけで飼育意欲も薄れるが、ショップで極稀に幼魚を見かけることがある。
近年乱獲の影響からか超巨大種の数は激減し、現地でも2mを超える個体は稀になったそうである。
ワシントン条約(サイテス)附属書Ⅱに分類されている絶滅危惧種でもある。
小型になったとはいえ、成長した個体は体重200㌔近くもなり、その跳躍力は人知を超えたものであろう。
個人レベルでは飼育不可能とされていたピラルクーだが、飼育設備の普及で飼育人口も増えているのも確かである。
産地では採集・輸出は完全に禁止されている事を考えると、ネームバリューだけで安易に購入することは避け、鑑賞は水族館でのひと時と割り切る事も大切である。
アリゲーターガーAtractosteus spatula
ミシシッピ川、メキシコ、ニカラグアなど 体長最大3m 推奨水槽サイズ幅200cm奥行き100cm以上
衝動買い指数 ★★★★★
人気のガーパイクの中でも、大きさ・迫力共に最大級である。
「買うこと」は出来ても「飼うこと」は出来ないのが現実である。
これまた安価で可愛い幼魚が売られているために衝動買い指数は高く、90cm水槽などに導入しても瞬く間に成長してしまう。
爆発的な成長に驚き、持て余した一部の人が池や川に放流するといった悲しいニュースも聞かれる。
終生飼いきるには水族館レベルの設備が必要となるため、初心者には一切お勧め出来ない。
ダイナミックな捕食により混泳魚に傷を負わせることもあり、すし詰め水槽ではトラブルは絶えないのも事実である。
餌代、水槽費用、水槽&ろ過の重量、混泳などトータルで考えるなら、やはり水族館で飽きるまで眺めたほうが良いだろう。
スッポンモドキ(Carettochelys insculpta)
パプアニューギニア、オーストラリアに分布 最大甲長70cm 推奨水槽サイズ甲長の3~4倍の幅、奥行き
衝動買い指数 ★★★★☆
魚では無いが、ホームセンターなどにいかにも小型水棲カメのように展示販売されているのが気になる。
実際は非常に大型になり自然化では甲長70cmにもなる。
70cmの甲羅を想像してみれば分かるが、巨大な中華鍋である。
水槽内ではそこまで大きくならないにしても、きっと購入した人の想像を遥かに超えた大きさになることは確実である。
「あなたの水槽のお供に」なんて文句で売られている時もあったが、冗談ではない。
一時的に他の魚と同居していてもそれはほんの一時期だけで、スッポンモドキの寿命から考えるならばそれは一瞬かもしれない。
非常に活発に泳ぎ食欲旺盛、雑食で餌になり得るものは全てを咥える。
そして成魚に成長すると他魚との混泳には水族館レベルの水槽が必要になる。
とにかく一度優雅に泳ぐ彼等の姿を水族館でご覧になってもらいたい。
泳ぐカメを泳げない環境に置くことは飼うとは言えない。
こういった生き物を飼育するには購入前にきちんと理解し、それに見合った水槽(環境)が持てるかどうかをしっかり考えてから始めるべきである。
ジムナーカス(Gymnarchus niloticus)
ナイル川、コンゴー川、ニジェールなどに分布 体長1.5m 推奨水槽サイズ200cm以上
衝動買い指数 ★★★☆☆
キーワードの「幼魚が可愛く手頃な値段」というマジックにかかり、未だに衝動買いされる事がある。
鑑賞魚界きっての性格悪で他魚との混泳は不可能な怪物である。
体内には発電組織が備わっており、それを使って周囲の生物や物体を感じとる事が出来る。
ヒラヒラと優雅に漂う雰囲気は何となく「飼えるかも」という錯覚を起こしがちだが、大型水槽でゆったり単独飼育が出来る、大人の人のための魚。
寿命は軽く20年を超える。
アルビノクララ(Clarias batrachus)
東南アジアに分布 体長70cm 推奨水槽サイズ120cm以上
衝動買い指数 ★★☆☆☆
飼いきれない訳ではない、水槽内では50cmほどだろうが問題はその性格と性質だろう。
他魚に対して攻撃的で大食い、しかも夜行性のため同居魚はストレスでダメになるケースが多い。
結局単独飼育になるため、あれもこれもの混泳水槽ではまず間違いなく持て余される。
コロソマ(Colossoma)
アマゾン川流域に分布 体長80cm以上 推奨水槽サイズ200cm以上
衝動買い指数 ★★☆☆☆
ブラック、レッド、スポットと総じて大型になる。
外見は同じカラシン科のピラニアに似ているが、こちらはの方は草食性が強い。
円盤型の肉厚な体格で、MAXサイズの個体を薄暗い水族館で観ると背筋が寒くなるほどの迫力を持つ。
衝動買いして飼育して、ある程度成長させてしまうともはや持て余しても引き取ってくれるところは無いだろう。
それだけ大型カラシンを飼うには将来の計画性と覚悟がないと出来ないのである。
これだけ大型になると混泳には風呂レベルの水槽では本種すら難しい。
鑑賞は水族館のひと時と割り切ることが最も大切である。
ド迫力のこんな化け物が当たり前のように泳ぐアマゾン川はやはり凄い。
ジャウー(Paulicea lutkens)
アマゾン川流域に分布 体長200cm以上 推奨水槽サイズ幅・奥行き・高さ共に200cm以上
衝動買い指数 ★☆☆☆☆
アマゾンのナマズとはどうしてこんなにも迫力があるのだろう。
ジャウーとは腹の中から人骨が発見されたと噂される通称“人喰いナマズ”である。
飼育下でも平然と1.5mを超え、大きさに比例して重量も人間以上となる。
おまけにその性格から混泳などは不可能という怪物である。
とても水槽などという入れ物に収まらない彼らを、果たして衝動買いするかどうかは別として、売られていることも確かなのである。

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